少女たづの夢みた世界
ものがたり
昭和23年。たづ(7歳)は、母さちと共に大阪に復員したまま戻らぬ父、明男の帰りを待ち望んでいた。 平和になったとはいえ、戦争の影響が色濃く残る村では、原爆で父を失い、被爆の後遺症に苦しむ姉、香里(14歳)を慕う里江(7歳)や、戦争のトラウマで精神を病む父を支える徹男(7歳)、母を病気で失った仙一(3歳)たちが、差別や偏見に傷つきながらも懸命に生きていた。
子どもたちが心を癒す唯一の楽しみは「紙芝居」だった……。
ある日、たづは不思議な本と巡り合う
虫の子 鳥の子 人間の子 みんな大地の同じ命
そこには、人間と大地の関わりが美しく描かれ、生命が循環しながら生かし生かされている世界が綴られている。
そして、たづは、仙一や友達のために、その物語を紙芝居にしたいと担任の伊藤に相談する。
原爆で父親を亡くした伊藤も、子どもたちに 命の尊さを伝えたいと考えていた。
「しあわせが好き」を神社の境内で演じる子どもたち。村人たちにも笑顔があふれる。 数日後、さちはある決意をたづに告げる……。