自閉症児のための音楽
映画『星の国から孫ふたり』の音楽づくりはいつもと少し違った立ち上がりでした。
この企画の話が持ち上がってからずっと、私にとって一番の関心事は、実は「どんな風な音楽を作ろうか」ではなく、それより、もしこの映画を親御さんと一緒に観に来てくれた「自閉症」の子が居たとして、果たしてラストまで「音楽」に耐えられるのだろうか、という疑問でした。 例えば今作の冒頭でも登場する、音に超敏感な「自閉症」の男の子。実は音楽が好きなのですが、同時に大きい音が苦手なのです。
実在するモデルのある彼の様に、好き嫌い以前に映画音楽に堪えられない!
となってしまう子が出てくるのではないか。
そうなると途中で退席してしまうかも。
それはできれば避けたい。少なくとも緩和することは可能か、可能なら何に気をつけて作曲すれば良いのか。
音量だけの問題か、音色も関係するのか、はたまた特定の音程に反応するのか、調律を変えるべきか……。
そんな風に悩んでみても、答えは出ず、困った私は、オーティズムと音楽を結びつける「音楽療法」にヒントを見出そうと、基礎から勉強することに決めました。
そこで手に取ったのが、ジュリエット・アルヴァン著「自閉症児のための音楽療法(原題:Music Therapy for Autistic Children)」でした。