若人よ〜いのちと愛のメッセージ〜

自らの生と性を選びとる力を

身も心も傷つく思春期の少女たち

ものがたり

舞台は広島。悠子(16歳)は同じ学校の先輩拓也と恋人同士になる。しかし楽しい日々も、悠子の妊娠という思いもよらぬ現実によって終わりを告げられる。わずらわしく逃げるだけの拓也。どうしていいか分からない悠子。

若人よ-見つめ合う悠子と拓也

結婚したいんです。子ども育てたいんです……

恵利(16歳)には将来を誓い合った恋人、明がいた。彼女はすでに明の子を身ごもっていた。高校をやめてでも子どもを産み育る、という恵利と明に、父は激昂し、すぐに堕ろせと言い渡す。そして覚悟していたかのように、恵利は家を出た。

初めて直面する生徒たちの妊娠・退学という問題に、戸惑い、悩み、やがて性教育の必要性を痛感する担任の江口と養護教諭の清水は、避妊や中絶、性病といった現代の子どもたちにとって避けられないテーマに授業を通して真正面から取り組んでゆく。

ともに考え、学び合って

企画にあたって

ふるさと広島に原爆が落ちた8月6日、私は5歳でした。

白い洗濯物をとりこんで来た母の白いブラウスにも黒い雨のあとが……今も眼に焼きついています。

性教育は人間教育、生命(いのち)を見つめる教育です。性教育をすることによって、人を愛し自然を愛し、平和を愛する心が育っていくといわれています。男も女も、若い人もお年寄りも共に生きる喜びを持てるような社会にするにはどうすればよいのか、若い人たちと共に考え学び合っていきたい、と思いこの映画『若人よ〜いのちと愛のメッセージ〜』をつくりました。

先に生まれてきた私たち大人が、生きることや性について本当に大切なことは何かを問い直し、次の世代に確実に伝えていく責任があるのではないでしょうか。

パオ代表・映画監督 槙坪夛鶴子まきつぼたづこ

1940年、広島に生まれる。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。映画・TV・教育映画に18年間スクリプターとして参加する。1985年企画制作パオ設立。デビュー作の『子どもたちへ』で文部省特選、第5回監督作品『老親ろうしん』で第17回山路ふみ子映画賞福祉賞、第20回藤本賞特別賞を受賞。

若人よ-涙を流す明と恵利

これが、もし私だったら……もし、我が子だったら…… 現代の若者は一見多くの情報を得て、多くの事を知っているようにみえますが、その実、無知です。何よりも、性を自分の生き方として考えるという思考をしていません。無知なまま、行動をとってしまったら……おこる結果は目に見えています。私達の現場では高校生の妊娠なんてもはや、めずらしい事ではありません。そして、これは性を伝えるという事をしてこなかった大人の責任だと思うのです。「これが、もし私だったら」「もし、我が子だったら」この映画『若人よ』は、きっと一人一人にそのような迫り方をしてくれると思います。

原作者 河野美代子こうのみよこ

河野産婦人科クリニック院長 「さらば、悲しみの性」著

セックスは決して例外的な出来事ではない

監修者のメッセージ

「男子27.8%・女子18.5%」これは東京の高校生のセックス体験率です。

キスは男女共に約43%となっています(昭和62年当時)この数字を見てあなたは何を思いましたか? 嘆くのか……それともうなずくのか。

いずれにせよ子どもたちにとって「性」は決して少数の者の例外的な出来事ではないのです。とすれば人間の性について、私たち大人が分かっていることを彼らに伝え、子どもたち自身に自らの生と性を選びとる力を育たせなければなりません。 映画『若人よ』、この価値ある作品を、そのために大いに活用してください。

監修者 村瀬幸浩むらせゆきひろ

一橋、津田塾、早稲田大学講師 "人間と性"教育研究協議会代表幹事

娘はやれないと激昂する恵利の父
性教育授業を行う養護教諭の清水
結婚の承諾を願い出る、明と恵利
母親に息むように声をかける秋山